バイオダイナミック農法と占星術

シュタイナー

バイオダイナミック農法については、私はほとんどわかりません。いくつか書籍が出ているのでそちらを見ていただいたり、実際に日本でもバイオダイナミック農法で作物を作っている方もいらっしゃるのでそのような方のサイトなどを見ると詳細が分かると思います。

ここではバイオダイナミック農法と占星術について分かる範囲で少し触れてみたいと思います。

バイオダイナミック農法では星のサイクルを参考に作物を植えたり、収穫したりするそうですが、ここで使用するホロスコープチャートは一般的な西洋占星術のホロスコープチャートと同じではありません。

バイオダイナミック農法では実際の天文学上の、頭上に輝き黄道(太陽の通り道)を循環している星座を利用しているのに対し、占星術は黄道12宮(春分点から12に当分割されたもの)でその年の春分から牡羊座が始まります。天文学上の12星座と区別するために占星術上の12区分は正式には「○○宮」という表現で表すのですが、分かりづらいのでほとんどが○○座という天文学上の星座の表記になっています。これが混同される理由です。

例えば、占星術で2022年の春(例えば4月1日)であれば占星術での星座は牡羊座です。でも天文学上、太陽がある部分で実際の天空に輝いている星座は魚座なのです。これはもともと占星術が生まれた時代(紀元前2000年、古バビロニアの時代)には春の太陽が昇る場所に牡羊座があったのですが、時代が流れて地球の歳差運動によりその位置がずれてしまっていることが原因です。

天文学と占星術で、違いがあるなんて、占星術を勉強しない限り知らなかった事実です。占星術ではこのチャートの作り方をトロピカル方式(一般的なチャートの作成方法)とサイデリアル方式(天文学上の星座の位置を使う作成方法)と言って区別しています。

シュタイナーの人智学から発展した占星術「アストロゾフィ」でも天文学上の星座(サイデリアル方式)でホロスコープチャートを作成するようです。

西洋占星術ではこの黄道12宮は空の実際に輝く星の位置を重視したもの、というよりも土星や金星、月、太陽といった占星術で扱う「惑星」の位置を確認するための「住所」のようなものとしてとらえているそうです。特にトロピカル方式では12宮の種類によって生まれた時期がわかるので私はこの黄道12宮は「住所」とともに「カレンダー(暦)」のようなものとも思えます。

バイオダイナミック農法で用いられるサイデリアル方式では実際の天空にある黄道12星座をもとに考えるので、西洋占星術の考え方のように1年を360度としてそれをきれいに12に等分し、ひとつの星座が30度になっているわけではありません。天空の星座はそれぞれ大きさが違うので、使用するチャート上では、乙女座が一番大きくて43度、一番度数の小さい星座が蟹座で20度となっています。

さらにややこしいことにシュタイナーの思想の中には、1年間の分け方等を一般的な12等分した12宮として考えている部分もあるようです。これはシュタイナーが神智学者ブラヴァツキーの考えを継承する形で占星術的な捉え方も持っていたのが理由のようです。(『人体と宇宙のリズム』翻訳者はしがきより)。地球年代記の所でも春分点の移動で等間隔に年代ごとに象徴する星座が変わっているので、人智学的ホロスコープとしての12星座と、象徴や時代のテーマとしての12宮は別に考えた方がいいのかもしれません。ややこしい話をしてしまい、ごめんなさい(汗)。私も全て把握しているわけではないので、分からない部分がたくさんあります。また新たに理解できた所は修正しようと思います。

 

ややこしい話は終わりにして(笑)、「月」に話題を変えます。バイオダイナミック農法では月のサイクルも重要になってくるようです。月のサイクルは占星術でも新月や満月を参考にしていることも多いので馴染みがあるかなと思います。月の満ち欠けは一般的にも人間の出産や植物などのサイクルにも関係があると言われています。

私もスマホの待ち受けにその日の月の満ち欠けが表示されるウェジットを使用しています。新月は新たな気持ちになりますし、満月には月を見上げて月のパワーをもらいます。

シュタイナーの4大著書のひとつ、『神秘学概論』では、地球の進化のなかで初めは太陽も月も地球と同じひとつの存在だったとのこと。ある時期に地球から最初に太陽が離れ、次に月が離れて現在の形になった、と言っています。これが事実かどうかは誰にも分かりませんが、こんな文章を読むとますます太陽や月に対して小さいころから感じている特別な気持ちをやっぱり無視できないなあと思うのです。