シュタイナーの4大著書とは
シュタイナーの4大著書と言われているものがあります。この4冊はシュタイナーの思想を考える上で基本となる内容が書かれています。しかし、この4冊は「シュタイナーを勉強したい!」と思った時に最初に読んでみてもなかなか内容が分かりづらいのではないかと思います。シュタイナーの本は人智学で使われる言葉や独特の表現があり、どれも理解するのは難しいです。もちろん初めにこの本を読んで面白く感じる方もいるかもしれませんが、ある程度予備知識として人智学の基本的な言葉や概念を理解してからの方が読みやすくなるのではないかなと思います。
<シュタイナー4大著書>
1.『自由の哲学』・・・個としての人間は個人の究極の自由をどこに見出すのか、思考の働きは人間に何をもたらすのか。
2・『神智学』・・・身体、心(魂)、精神(霊)とは。
3.『神秘学概論』・・・宇宙の進化と人間について。霊学で用いられる諸概念。
4.『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』・・・霊的な本質を知るための認識論。
私はこの「シュタイナー4大著書」という存在を知ったのがシュタイナーの本を読み始めて随分経ってからでした。
この4冊、シュタイナーについてなんとな~くシュタイナー教育の人、というくらいしか知識がない人には、難しそうな、怪しそうな内容でびっくりされるかと思います。この時点で興味がなくなってしまうかもしれません。でもシュタイナー教育について学ぶにはこれらの内容も理解しないと本質まで理解することができないようです。
シュタイナー教育は「自由の教育」と言われています。自由とは、そして人間とは何か、宇宙的に見ると今の時代はどのような時代なのか・・・という部分まで理解することで子供の教育として何が必要か、難しいので1度読んだだけでは理解できないですが、何回も読むことでシュタイナーの言いたいことが段々と分かってくるように思います。
私がはじめに読んだ本とおすすめ入門本
「シュタイナーとの出会い」で書いてある通り、シュタイナー関連の本を始めて読んだのはバイオダイナミック農法についての本『ワイン 天から地まで』でした。この本が理解できないことが多かったので、『シュタイナー入門』(西平 直 著)を見つけて読んでみました。この本を読んだことで一気にシュタイナーについて興味が湧き、他の本も読んでみようと思いました。(シュタイナー教育の本、子安美智子著、大村裕子著、そのほかシュタイナー学校の本はこの間何冊か読みましたがここでは省いています。「シュタイナー教育」のカテゴリーの方で紹介できたらと思います。)
そして書店で気になった本を買って読んでみます。たくさん出版されている本の中で、とりあえずタイトルが気になるものを読んでみたらいいのかなと軽く思って、その時購入した本がアロマの仕事に役立つかと思い『病気と治療』でした。
同じころシュタイナーについて興味があった友人が購入した本を「思っていたのと違った」と言ってもらった本があります。『シュタイナーの美しい生活』でした。この2冊は基本的な事がさっぱり分かっていなかった当時、内容がいまひとつ理解しづらいためページが進まず、読み終えることなく本棚に長い間並んでいました。これ、シュタイナーの「あるある」みたいです。シュタイナーを勉強したい、興味がある、と思ってシュタイナーの本を読んでも、独自の表現や言葉に頭が固まってしまい、結局読む事ができず挫折する・・・という残念な結果に。
私にシュタイナーの本をくれた友人も、素敵なタイトルから購入して読んでみたら、想像していた内容と違って読むことができなかったみたいでした。「シュタイナー教育」というと、手作りのおやつを作って木のおもちゃやシンプルな人形で遊んだり、テレビを観ないで・・・などイメージ的にナチュラル&オーガニックみたいなちょっとおしゃれでシンプルな暮らしを提唱しているのかな、この『シュタイナーの美しい生活』もそんなシンプルライフのHow toものなのかな、と感じたのかもしれません。実際はこの本はそんな内容では全くないんです・・・。
シュタイナーを少しずつ理解するには、入門的なものから入るほうがいいようです。最近いいなと思ったのは『まんがでやさしくわかるシュタイナー教育』で、シュタイナー教育について分かりやすくまとめているだけでなく、人智学についての基本も説明してくれています。
同じように分かりやすく説明してくれるシュタイナー教育や育児の本はシュタイナーや人智学の基本を押さえてくれているものもあるので、このあたりから入るといいのではないかなと思います。『シュタイナーの子育て30のヒント』『おうちでできるシュタイナーの子育て』もおすすめです。
人智学の入門的な本もあります『ベーシック・シュタイナー』西川劉範著・イラザ書房刊、『医師の天使学:シュタイナー超入門講座』佐藤俊夫著・22世紀アート刊など。もう絶版になっているかもしれませんが、先ほど紹介した西平直著の『シュタイナー入門』はシュタイナーの生涯や大まかな全体像がつかめて私はとても参考になりました。
シュタイナーの著書の中では、『神智学の門前にて』はシュタイナーの思想がシンプルにまとまっているのでこちらもおすすめです。また、すこし古い情報になってしまいますが、2002年に出版されている『シュタイナーの本のカタログ』(ほんの木刊)という本も出ているので日本で出版されているシュタイナーの本をざっくり一覧で見てから選んでみるのもいいのかもしれません。
私は入門的な本を読みつつ勉強会のようなものに参加したりして少しずつ人智学について理解していきました。そんなことをしながらしばらくすると、4大著書も他の著書も理解できることが多くなりました。そのおかげで現在はたくさんあるシュタナーの本の中で気になったものを読むと、また他の分野について知りたくなって関連した本を読み、そしてまた他の本へ・・・と広く深いシュタイナーの世界を旅しています。
シュタイナーの書籍について
シュタイナー関連の本は、①シュタイナー自身が書いた本と、②生前とてもたくさん行っていた講演会の内容やメモ、エッセイなどを編集し書き記したもの、そして③シュタイナー以外の人の著書に分けられます。 シュタイナーの著書と講演などの内容をまとめたものが『シュタイナー論文集』としてドイツ語で読む事ができます。スイスのドルナハにあるシュタイナーアーカイブで予約して閲覧できるようです。この論文集は全部で354巻にもなり、分野ごとに分類され年代別に「全集」を表す Gesamtausgabe という言葉の頭文字をとり、GA-番とナンバリングされています。
シュタイナーの作品の著作権は、シュタイナーの死後70年後に失効して、その日以来シュタイナーの作品(書かれた作品、エッセイ、講義、図面など)を公開したものが閲覧できるようです。さらにシュタイナー100歳の誕生日を記念して1961年に未編集のものをまとめて完全版を作る作業が始まり、2025年のシュタイナー没後100年にはおよそ400巻の完全版が発表できるように準備している・・・とシュタイナーアーカイブのサイトに書かれています。
354巻にもなるシュタイナー全集、さらには追加まであるという量の多さ、しかしその中の一部しか日本語訳されていないので読む事ができるものも限られます。とは言えすでに日本語訳されているものもとてもたくさんあるので、出版されているものを全部読もうとするだけで大変な作業になります。 著書や講義の翻訳本でも、違う翻訳者で複数出版されている本もあります。また、日本語訳で出版されても、絶版になってしまっているものも多く、古本で探すしか入手手段がないものも多いです。図書館で探すとそんな本も蔵書があったりするので、一部の作品は購入せずに読むこともできますし、絶版になっていても電子書籍で読む事ができるものも多いです。
Rudolf Steiner, 1904, Wie erlangt man Erkenntnisse der höheren Welten. 「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するのか」原稿 ( Rudolf Steiner Archivサイトより)